【書評】『政治学講義[第2版]』佐々木毅 著 東京大学出版会

書籍の目次

序論

第一章 現代政治学の展開
第二章 理論・概念・価値判断

第一部 原論

第一章 人間
第二章 政治
第三章 権力と政治権力
第四章 政治システム・政府
第五章 正統性
第六章 リーダーとリーダーシップ
第七章 公共の利益と公民の徳

第二部 現代民主政治論

第一章 民主政治
第二章 民主政治の諸条件
第三章 民主政治の制度
第四章 投票行動と政治意識
第五章 政党
第六章 官僚制
第七章 利益集団
第八章 政治経済体制と民主政治
第九章 エスノポリティクス
第一〇章 政治思潮とイデオロギー

むすび 政治判断について

書評(感想、レビュー)

『政治学講義』は東京大学出版社から出版され2部17章336ページで構成されている本です。

東京大学の1年生が受ける政治学講義の教科書として使用されていたらしいです。残念ながら、シラバスなどを検索して実際に使われていたのか、確認することはできませんした。

この本は、情報量が非常に多く、最後まで読むためにはそれなりの時間が必要です。

本のタイトルが『政治学講義』なので、政治学の入門書であると思って読むと、難しくて読み進めることができません。

なんと言っても、読みにくいんです。とにかく読みにくい。

シバポチ

著者の佐々木毅さんもまえがきで

本書は元々が講義案であるが、正直なところ、そう読みやすいとも思えない。

佐々木毅『政治学講義第2版』まえがきⅰ東京大学出版会 2012年

と述べています。

実際、私も購入して読んだのですが、とにかく理解するのが大変で、ラインを引きながら読みました。

佐々木毅さんが政治学西洋政治思想史を専門としているため、政治思想史に関する内容が多く、ある程度の政治思想史の知識がないと読みにくいです。

また、序論と第一部の原論は、理論、制度論、権力論、自由論、政治システムについて書かれているので、ある程度の知識がないと読み進めるのに苦労します。

序論と第一部の原論が理解できない場合は、他の政治学入門書の政治思想、政治理論の項目を読んでから再チャレンジをすることをおすすめします。

読みやすさは、第二部の現代民主政治論⇒序論⇔第一部の原論の順です。

仮に、序論と第一部を読み進めるのが困難だとしても、第2部の現代民主政治論を読むだけでも価値ある本です。

一章、二章の「民主政治」と「民主政治の諸条件」では、【民主政治の概念】について、J・シュンペータ、R・ダール、イーストンなどの学者たちの民主政治に対する考えを多面的視点から考察し、「民主政治は極めて複雑な装置を備え、単純な政治体制」ではないと結論付けています。

四章の「投票行動と政治意識」では、投票行動と政治意識が民主政治論ではどのような影響を与えるのか、特に「政治参加の質」の問題についても言及しています。

第二部の一章~四章を読むと、必然的に【民主政治】そのものについて改めて考えさせられる。

シバポチ

七章~十章では、経済学、民族、イデオロギーと民主政治の関係性について書かれています。現代民主政治論を理解するためには、経済学、社会学など他分野の領域についての知識が求められます。

参考文献引用について

参考文献のページには「ここでは、多くの入門書については割愛されていただきます」と書かれています。

掲載されている参考文献は、比較的古く入手困難な古書もあります。大学の図書館や国立図書館を利用しないと読めません。

また、政治学の入門書としては珍しく、かなり多くの洋書が参考文献として使用されています。

こんな人におすすめ

  • 政治学西洋政治思想史の視点から政治学をまなびたい人
  • 民主政治について追及して学びたい人
  • 大学院進学を目指している人

『政治学講義』は他の政治学入門書とは異なり、斜め読みして簡単に理解できません。

他の政治学の入門書を一度読んだことがある人、政治学の基本的な知識がある人が対象の本です。

シバポチ