小学生から学べる【書評】『図解はじめて学ぶみんなの政治』

『図解はじめて学ぶみんなの政治』の評価

『図解はじめて学ぶみんなの政治』の評価
読みやすさ
(5.0)
専門性
(2.0)
参考文献引用の割合
(2.0)
ページ数
(5.0)
値段
(5.0)
総合評価
(4.0)

目次

序 章:政治ってなんだろう?責任をもつのはだれ?政府ってなんだろう?

第1章:政府のかたち

古代民主制
古代ローマの共和制
ローマ帝国と2人の皇帝
中国の科挙制度
封建制
絶対君主制
自治
間接民主制

第2章:いろいろな政治システム

いろいろな政治システム
政治システムを作る
権威主義国家
共産主義
帝国の支配
民主制のしくみ
三権分立のしくみ
アメリカの民主制
イギリスの民主制(議院内閣制)
日本の政治システム
国家運営
地方の政治
連邦共和制
いろいろな国際機関
もしも政府がなかったら?

第3章:選挙と投票

選挙
きみの1票はどこへ?
投票できる人、できない人
選挙権が広まるまで
選挙不正とは
選挙制度
相対多数性と絶対多数制

第4章:政治を変えるには

圧力団体ってなんだろう?
抗議する!
革命!
すぐにできることは?

第5章:政治イデオロギー

社会問題の調整
左派と右派、大きな政府と小さな政府
資本主義と社会主義
ナショナリズム
いくつかの国からなる国家
きみの政治的な立ち位置は?

第6章:さまざまな問題

人権ってなんだろう?
戦争は正当化できるの?
貧しい国があるのはなぜ?
テロリズムってなに?
刑務所はなんのためにあるの?
言論の自由ってなに?
マスメディアと政治
移民ってどんな人たち?
私はフェミニスト?
地球環境にたいする責任
汚職はさけられないの?
きちんと意見を伝えるコツ
ディベートをしてみよう
さあ、これからどうする?

書評(感想、レビュー)

Politics for Beginnersアレックス・フリス他 著を日本語訳したのが、『図解はじめて学ぶみんなの政治』です。

6章127ページで構成され、元慶應義塾大学法学部学部長の国分良成さんが監修し、江戸川区立清新ふたば小学校6年生のみなさんが編集協力しています。

本書のねらい

本書は「はじめに」や「冒頭」で、どのようなねらいがあるのか書かれていません。

日本語訳で出版している晶文社のサイトを見ると「民主主義の母国イギリス発!世界14カ国で人気の政治入門書」と書かれています。

シバポチ

最初に「本書のねらい」について少し考察したいと思います

タイトルが「政治学」ではなく「政治」

本書のタイトルは『図解はじめて学ぶみんなの政治』です。「政治学」ではなく「政治」としているところに本書のねらいがあると思います。

「政治学」と書かれている場合は、政治を学問的に学ぶことが目的ですが、「政治」と書かれている場合は、教養として政治を理解することが目的となります。

そのため本書は、「教養として政治を理解すること」が目的であると考えられます。

編集協力:「江戸川区立清新ふたば小学校6年生のみなさん」

本書は、江戸川区立清新ふたば小学校6年生のみなさんが編集協力しています。

小学校6年生が編集協力しているということは、本書の対象年齢は小学校5、6年生以上だと考えられます。難しい漢字にはフリガナが振られています

小学生でも「政治を理解すること」ができるように書かれています。

各章の構成

1つのテーマを2ページ以内で説明しています。

文章で理解させるというよりかは、絵、図、表、マインドマップやマンガで視覚的にも楽しみながら、「政治について理解すること」ができる構成となっています。

おすすめポイント

本書では、日本の公民や歴史の教科書では書かれていないが、政治を理解するために必要なテーマをたくさん知ることができます。特に読んでほしいのは5章「政治イデオロギー」です

残念ながら、日本の教育では政治的イデオロギーについて取り上げることはないため、私たち「政治的イデオロギー」についてきちんど学んでいません。

教師がある特定のイデオロギーに、子どもたちを誘導するような指導はしてはいけません。

しかし、様々なイデオロギー

  • 「資本主義者」
  • 「社会主義者」
  • 「国際主義者」
  • 「愛国主義者」
  • 「ナショナリズム」
  • 「右派」
  • 「左派」

を教えることは、子どもたちを誘導するような指導ではありません。

そのため本当であれば、「政治イデオロギー」について学校で教えても問題はないのです。

しかし、教師が教えないのは、様々な方面から「変なイデオロギー教育をしている先生がいる」と言われたくないからです。

本書では、いままで教わったことがない「政治的イデオロギー」について理解することができます。

 

また、本書では各テーマで対立軸を作り、それぞれのメリットとデメリットについて説明しています。

そしてマインドマップを利用して、自分がどの立場に属しているのか知ることができます。

それを踏まえた上で、最終的に誰かとディベートすることができます。

6章の最後で「ディベートをしてみよう」「きちんと意見を伝えるコツ」の項目があります。ディベートすることを意識して書かれていると思われます。

「人権について」「戦争は正当化できるのか」は道徳の授業でも取り上げられることができる課題ですし、「投票」「選挙権」は高校の社会の授業で取り上げることもできます。

本のタイトルは『はじめて学ぶみんなの政治』ですが、政治を通じて社会問題についてディベートすることもできます。

使い方によっては、子どもと親の意見交換、小学校、中学、高校、大学でのディベート、就職活動のディベートでも利用することが可能です。

シバポチ

正直、中学校の公民や高校の授業でこの教材を使ってディベートしたら楽しいだろうな~

ここが不満

  • この本を読んだ後に、次にどの本を読めばいいのかわからない。できれば、監修者が次に何の本を読めばいいのか提示してほしかった。
  • 全体的に世界史についての知識がないと読みにくい。

政治について理解するためにはどうしても世界史の知識が必要になります。小学生や中学生であれば、学校の図書館や公立図書館に置いてある『学習漫画 世界の歴史全22巻』を読んでから本書を読むことをおすすめします。

こんな人におすすめ

  • 政治をこれから学びたい人 ※小学生以上~
  • 教養として政治を理解することを目的としている人
  • 政治のテーマ(社会問題)でディベートしたいと考えている人
  • 社会の授業やディベートするための教材を探している人