大学の研究室(ゼミナール)に入って、はじめて政治学のレジュメを作成する人が多いと思います。
レジュメを作成することができると、卒業論文を書くために必要な「研究報告書」を簡単に作成することができます。
政治学のレジュメを作成するときの「テーマの決め方」「注意ポイント」「レジュメ作成の手順」「短時間で作成する方法」について紹介します。
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Contents
レジュメとは
発表や報告をする内容を要約した用紙
大学の授業でよく配られるのがいわゆるレジュメです。高校の地歴公民の授業で配られるプリントもレジュメに近いです。
「外務省について」のレジュメを作成してみる
レジュメがどのようなものか伝えるために、外務省ホームページの「外務省について」の文章を引用してレジュメにします。
外務本省は、大臣官房のほか10局3部より成り立っており、約2,550人の職員が働いています。大臣官房及び全省的なとりまとめを行う事務局の総合外交政策局を除く局は、地域別担当の5つの地域局(アジア大洋州、北米、中南米、欧州、中東アフリカ)と事項別担当の4つの機能局(経済、国際協力、国際法、領事)に分かれており、また情報収集分析を行う国際情報統括官が置かれています。
では上記の文章をレジュメにすると
外務本省は、大臣官房のほか10局3部により構成
→約2550人の職員が働いている
地域別担当の5つの地域局
→アジア大洋州、北米、中南米、欧州、中東アフリカ
事項別担当の4つの機能局
→経済、国際協力、国際法、領事
※事務局の総合外交政策局
情報収集分析を行う国際情報統括官
元の文章が長くないため、あまり「要約」はできませんでしたが、文章をレジュメにまとめると上記のような感じです。
ではさらに詳しく説明します!!
テーマの決め方
テーマが決まっている場合は悩む必要はないと思います。
しかし、「東アジアの国で政治学に関連する内容であれば何でもいい」場合は、自分でテーマ(タイトル)設定する必要があります。
幅広い範囲を調べるのではなく、狭い範囲を詳しく調べる
なぜ幅広い範囲をレジュメにまとめてはいけないのか?
- 幅広い範囲を調べると内容が薄くなる
- 発表時間内に説明できない
例えば「中国政治について」のレジュメを作成しようとします。
「中国政治について」をテーマにしてしまうと、国家制度、政治体制、権力構造、国家統治方法と幅広い範囲をレジュメにまとめなければいけません。
これだけの内容を、レジュメで詳しく説明しようとすると膨大な量になってしまします。仮にレジュメにまとめたとしても、ただの「中国政治について概要」説明になってしまいます。
高校生であればある一定の評価がされると思いますが、大学ではこれだけでは評価されません。.なぜなら内容があまりにも薄いからです。
そこで、
- 「中国政治の国家制度について」
- 「中国政治の政治体制について」
- 「中国の国家統合について」
と調べる範囲を狭くすることで、中国政治の概要説明になるのを避けます。
さらに
- 「中国政治の国家制度について~日本との比較~」
- 「中国政治の国家統合について~香港問題について~」
と問題提起することでさらに専門性が高まり、質の高いレジュメを作成することができます。
画像にまとめました。調べる範囲を狭くすることで専門性を高める方法は、卒業論文のテーマを決めるときにも利用できます。
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注意ポイント
冒頭でも書きましたが、レジュメは「要約」したもので内容を口頭で補足します。文章を長々と書かないようにしましょう。
そして政治学のレジュメを作成するときに、注意すべきポイントがあります。
歴史の流れを要約するレジュメにならないようにする
例えば「日本の内閣制度について」のレジュメを作成するとしましょう。
1868年の政体書公布:説明文~
1885年に内閣制度誕生:説明文~
1889年に内閣官製が公布:説明文~
1907年に一部分改正:説明文~
1947年に内閣法:説明文~
現行内閣制度:説明文~
これをレジュメにまとめても「日本の内閣制度の歴史について」説明しているだけです。
仮に日本の内閣制度史(政治史)とするにしても、「日本の内閣制度の歴史~戦前と戦後の比較~」など日本の内閣制度の歴史with〇〇と、自分なりに問題提起(考察ポイント)を加えないと、ただ歴史の流れを説明している「質の低いレジュメ」を作成していることになります。
過去にあった出来事をレジュメにまとめて説明しないように注意しましょう。政治学の視点で歴史を考察することが重要です!!
レジュメ作成の手順
- レジュメのテーマを考える
- レジュメの構成を考える
- 本、論文など文献を集める
- レジュメが完成したら口頭補足する内容を考える
- 人前で発表する場合は何回か練習をする
- 質疑応答の時間がある場合はそれに対しての対策を考える
①レジュメのテーマ ②構成
①レジュメのテーマの決め方については、先ほど説明したのでここでは割愛します。
②レジュメの構成は最初によく考えてください。小論文など文章を書くときと同じで構成がしっかりしていないと、最後のまとめが曖昧になってしまいます。
何を主張したいのか考えながらレジュメを作成しましょう。
③本、論文など文献を集める
④レジュメが完成したら口頭補足する内容を考える
発表するときに口頭補足する内容を考えレジュメに書き加えましょう。
レジュメはあくまで「要約」なので、口頭で補足する内容を事前に考えないと、ぶっつけ本番で発表するとグタグタになります。
⑤人前で発表する場合は何回か練習をする
数回練習して発表時間よりも短い場合は、口頭補足する内容を増やします。
発表時間が長くなってしまった場合は、口頭補足する内容を減らすか、レジュメの項目を減らしましょう。
⑥質疑応答の時間がある場合はそれに対しての対策を考える
質問されそうな箇所は事前に調べておきましょう。
発表時間内で口頭補足できていない箇所から質問されやすいです。
短時間で作成する方法
「レジュメの質」を高めるためには、たくさんの文献を読み込み時間をかけることです。
しかし、短時間でレジュメを作成しなければいけないこともあると思います。
多少レジュメの質は低下しますが、なるべく短時間で質の高いレジュメを作成する方法を紹介します。
- レジュメ作成の主軸となる本を決める
- 情報量を増やすために3~4冊関連書籍を選ぶ
①レジュメ作成の主軸となる本を中心にレジュメを作成します。しかし、そのまま要約してしまうと「本の要約」になってしまいます。
それを避けるために、②3~4冊ほど関連書籍を読んで情報を追加して要約します。
本を読むときは、レジュメを作成するために必要な項目だけ読みましょう。本を最初から最後まで読む必要はありません。
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【番外編】短時間で「質の高い」レジュメにする作成方法
図や表を利用する
図や表を挿入するとレジュメが見やすくなり、発表するときに説明しやすくなります。
表は自ら作成してもいいですが、本から引用しても構いません。※引用元についての記載が必要
レジュメの見栄えを良くなりますので、少し大変かもしれませんが、積極的に「図や表」を挿入してみてください。
参考文献や引用元を掲載する
論文だと参考文献や引用元について記載しますが、レジュメでは必ず書かなければいけない、ルールがあるわけではありません。
しかし、「自分が何を参考にしてレジュメを作成したのか」「データーの信頼性があるのか」アピールするためにも、レジュメの最後に参考文献や引用元を記載することをおすすめします。
信頼性が高まることで「質の高い」レジュメを作成することができます。
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はじめてレジュメを作成する人は、自分が見やすいと思うレジュメの真似から始めてみてください(※文章ではなく構成を真似する)。慣れてくると、自然に自分の個性がでたレジュメを作成することができるようになります。