政治学の大学院に進学するときに注意すべきこと「修士編」

大学に入学したときは大学院に進学することを考えていなくても、政治学を本気で学んでいると「もっと研究したい」「もっと知りたい」と思い、大学進学を考える人が多いのではないでしょうか。

この記事は、政治学の大学院「修士」に進学するときに注意すべき「研究の難易度」「修士課程における政治学の研究について」「博士課程への進学」「就職」について説明し、大学院進学を考えている人の不安が少しでも解消できればという思いで書いています。

自分が研究したいテーマは譲らない

大規模大学の場合は、研究室の数が多いためよほどマイナーな研究でなければ、自分が研究したいテーマの指導教授を見つめることができます。

しかし、中小規模大学だと自分が研究したいテーマを取り扱っている指導教授がいないため必然的に外部進学をする必要があります。

一般的には外部進学よりも内部進学の方が簡単だと言われています。

  • 内部進学:大学である一定以上の成績を収め、ゼミ(研究室)の推薦状、卒業論文と研究計画書があれば大学院に進学できる
  • 外部進学:大学院入学試験「英語」「論文」「面接」、研究計画書と卒業論文を提出し、合格できれば大学院に進学することができる

外部進学よりも入学試験がない内部進学の方が「楽」「簡単」なため、自分が研究したいテーマと違っても、少し被っている研究範囲があるなら大丈夫だと思い進学すると苦労します。

研究の専門性がどんどん増すために、妥協せずに自分が研究したいテーマの大学院に進学しないと、望んでいない研究を2年間することになります。

中途退学になってしまったら目を当てることもできません。

そもそも何のために大学院に進学するのかよく考えて進学先を決めることが重要です。

研究の難易度

修士の研究は学士の研究の延長

修士課程における政治学の研究について説明をする前に、研究の難易度について説明します。

修士での研究は学士の研究の延長だと言えます。

これは修士での研究が「楽」「簡単」であると言ってるのではなく、博士での研究は物凄く大変なため修士の研究はどちらかというと学士の研究の延長だと言えます。

修士課程を卒業してもほとんどの人は研究者になれませんが、博士課程を卒業すれば研究者になる可能性が高いために、博士課程での論文審査会での質疑は厳しく論文の量と高い質が求められる。

博士論文の中でも質の高い論文は、ブラッシュアップされ本としても出版されることもあります。

『シビリアンの戦争』の元は三浦瑠璃さんが東京大学大学院法学政治学研究科総合法政専攻博士課程時代に書いた博士論文をブラッシュアップした本になります

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大学側からすれば研究者になる人材を輩出するわけですから、研究者になるだけの能力が備わっている人材でなければ卒業させません。

それに対して修士課程での論文は研究者を輩出するのが目的ではなく、研究者の気質がある人材を見つけるのが目的なため、論文も最低5万以上で、論文審査会での質疑はさほど厳しくはないです。

まれに指導教授が論文審査会でアシストしてくれないために、論文審査会での質疑応答が大変だったというケースはあると思いますが・・・

MEMO
大学に在学中であれば、図書館で過去に書かれた論文を読むことができ、大学提携校であれば他大学で書かれた修士、博士論文を読むことができます。一度読んでみてはどうでしょうか?

修士課程における政治学の研究について

語学から逃げてはいけない

もっとも注意すべきことは語学から逃げないことです。

比較政治、地域研究、政治史や政治思想など各専門分野で日本語、英語、そして研究する地域が英語圏でない場合は、第三ヵ国語を習得する必要があります。

おそらく大学院進学を目指している人は、学士課程のころから語学勉強をしていると思います。

しかし、英語や第三ヵ国語を学ぶのが苦手だけど、政治学の大学院に進学したいため、日本政治、日本政治思想や憲法など日本語だけで研究ができるテーマを選択すると進学してから痛い目にあいます。

日本に関する内容であれば、日本語文献だけでも論文を書くこともできますが、外国の文献を取り入れないと必然的に論文の質は低下し、修士論文審査会で英語文献がないことを指摘されることもあります。

また、指導教授に「日本研究している外国文献を読むことで論文の質を高めたほうがいい」と指摘されたときに、「私は語学苦手なのです」では上位の大学院では通用しません。

自分が研究したいと思っているテーマに関連している論文でどのような注釈、参考文献が使用されているか事前に確認しましょう。

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博士課程へ進学するにしても就職するにしても、語学(特に英語)ができないと不利になりますので、絶対に語学からは逃げないようにしましょう。

指導教授の情報収集

これは政治学の研究以外でも言えることなのですが、自分が行きたい研究室の指導教授がどのような指導方針なのか情報取集をしましょう。

内部生であれば情報取集するのは簡単だと思いますが、外部進学の場合はなかなか情報を収集できないと思います。

直接アポイントメントを取って、必ず一度は指導方針について話を聞いた方がいいです。

昔に比べるとだいぶ減ったのですが、指導教授なのに指導してくれない先生がたまにいます。

どんなに頑張っても1人で論文を書くことができません。

大学の先生ですら本格的な論文や本を書くときは、他の先生に査読してもらい質の高い論文や本を書きます。

院生が一人で論文を最後まで書くのは至難の業です。

そのため指導教授の指導方針が自分にあう研究室を選ぶことがとても重要になります。

論文の中間発表や報告会が頻繁にある研究室を選ぶことをお勧めします。

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報告会が多いと、周りの人は書き進んでいるのに自分だけ書き進められていないと焦る機会もあると思いますが、自分のためにはなりますので報告会や中間発表をきちんと行う研究室をお勧めします。

博士課程への進学

修士課程に進学するときに博士課程について考える

修士課程を卒業したあと就職するのではなく、博士課程に進学したいと考えている場合は、修士課程で所属する研究室が博士課程への進学者を輩出しているのか事前に調べましょう。

博士課程への進学者を輩出することを、目的にしていない研究室もありますので研究室選びは重要になります。

博士課程への進学は修士課程の成績が重要

残酷な話になるのですが、博士課程へ進学したいと思い進学できる場合もあるのですが、基本的には修士での指導教授が「博士課程へ進学する気はある?」と博士課程でも通用する院生に声をかけることが多いです。

研究室から1~4名程度が対象者で、そのうち半分は就職してしまうので実質、博士課程に進学するのは2人もいれば良いほうです。

指導教授から「博士課程へ進学する気はある」と聞かれる又は「博士課程でもやっていけるね」と言われないと博士への進学は難しいです。

指導教授から認められるためにも、修士論文を全力で取り組み、研究内容が深く質の高い論文を書くことが求められます。

学内の論文コンテストでの受賞や研究計画書の内容が良く奨学金や研究費が支給されると博士への道が見えてきます。

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人気の研究分野をテーマとして扱う

最初に「自分が研究したいテーマは譲らない」と書いたのですが、矛盾している内容を書かなくてはいけません

残念ながらあまりにもマイナーな研究テーマを選んでしまうと、博士課程で研究テーマを指導できる先生がいないため、海外の大学に進学しなくてはいけない場合があります。

また、多くの大学でアメリカ政治、中国政治を専攻している先生は多いですが、中東や南アフリカを専攻している先生は少ないですよね。

これは日本という国ではアメリカや中国への関心が高く、中東やアフリカの関心が低いためです。

実際に、大学の講義、メディア、論文執筆、専門書で求められるのは、中東やアフリカの話題よりもアメリカや中国の話題です。

要するに、マイナーな研究テーマを選んでしまうと活躍する場が少ないために、「自分が研究したいテーマ」を曲げても人気な研究テーマを選んだ方がいい場合があります。修士論文の研究テーマを決めるときに頭の片隅に入れて研究テーマを考えるといいかもしれません。

ちなみに大学の教授でなくでも、シンクタンクや大手企業の研究施設で研究することはできます。

政治学で学んだことを直接活かせる仕事が少ないため、チャンスを広げるために人気な研究テーマを選ぶことも重要になります。

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就職

日本では理系に比べると、文系は大学院へ進学したことが評価されにくいです。

大手の商社、出版社、研究所では評価されるのですが、一般的な企業では大学院で学んだ知識は求められず、そもそも大学院でどのような勉強をしているのか、知らない人がほとんどで評価されない傾向にあります。

上位校の政治学研究科のホームページでは、就職先一覧で一部上場企業や公務員など就職先が書かれているのですが、下位の大学になるほど就職先が書かれていないことが多いです。実際に就職先が実績について調べることをお勧めします。

政治学に限らないのですが、文系院卒の就職先は上位校でないと就職するのが難しいと言われていますので、修士への進学を考えるときは就職先も一緒に考えることをおすすめします。