なぜ香港では民主的な考えが根付いているのか

2019年6月、香港刑事事件の容疑者を中国本土へ引き渡すことができるようになる、「逃亡犯条例」改正案に反対するデモ行進が行われました。

大規模なデモに発展した理由は、香港の自由が中国に奪われてしまうという「危機感」からでした。。

今回の記事では、

  • 「一国二制度」について
  • 中国が香港に対して、政治、経済、法律、社会生活など「高度な自治」をなぜ認めたのか
  • なぜ香港では「民主的」な考えが根付いているのか

について書いています。

香港のはじまり


香港は英国が、アヘン戦争以降の南京条件(1842年)で香港島、北京条約(1860年)で九竜半島を手に入れ、1898年に租借(99年間)した土地(新界)です。

英国は香港が植民地であるにもかかわらず、完全に近い自由放任経済をによる経営をしました。これにより香港は経済発展を成し遂げ中国よりも豊かになりました。

ポイント

1898年から99年間租借するということは、1997年にイギリスは香港を中国に返還しなければならない

中華人民共和国の建国による影響

1949年に中華人民共和国が建国され、いままでに各国と結んだ条約は不平等条約であるため撤廃する意思を表明しました。

しかし、香港の解放にはふれず「解決されるまでは現状維持」という結論にいたり、香港は共産党の統治から逃れることができました。

そのため、香港は中国の共産党による支配から逃れた人たちの集まりとなっていきました。

民主化改革はおこなわれていませんが、民主的な考えを持った人が多く集まる地域となりました。

合意文書の調印による「一国二制度」

1982年に英首相のサッチャーが中華人民共和国に訪問し、1984年に香港を返還するための合意文章が調印された。

合意文章のポイント
  • 返還後も50年間は政治・経済・社会生活の現状維持
  • 外交と国防以外は、すべて香港の市民に自治を委ねる
  • 香港の資本主義を認める

中国がこの合意文章に調印したことにより、「一国二制度」の概念が誕生した。

一国二制度どは、1つの国に2つの制度があるということです。中国という国に中国制度と香港制度の2つがあることになります。

中国は共産主義にもかかわらず、香港の政治、経済、法律、社会生活の「高度な自治」を認めたことになります。。

なぜ中国は香港に対して「高度な自由」を認めたのか

中国がもっとも恐れていたことは、共産党による支配をしたことで香港市民が反発することでした。

当時、民主化運動の余波が中国本土にまで波及することを中国共産党がもっとも恐れていました。

そのため、香港市民が暴発しないように、香港に対して「特別行政区」として「高度な自治」を認めた。

イギリスによる民主化改革

1992年7月に英国から香港に最後の総督としてクリストファー・パッテンが派遣され民主化改革をおこなれました。

民主化政策をすることを中国は反対していましたが、中国の意向を無視しました。

主な民主化改革
  • 直接選挙の導入
  • 小選挙区制の導入
  • 香港国際空港の建設(国際化)

もともと香港は自由放任経済で民主的な考えが根付いていたが、直接選挙や小選挙区制を導入したことにより、よりいっそう民主的な考えが根付いていきました。

シバポチ

イギリスによる民主化改革の戦略

中国が政治制度の民主化を恐れていることから、1984年の合意文章では政治状態の「維持」でイギリスは調印しました。

しかし、イギリスはより安全で信頼できる地域づくりを目指し、合意文章調印後に「直接選挙」と「小選挙区制」を導入しています。

返還後の香港

中国は香港返還後すぐに、クリストファー・パッテンの民主化改革を無効にしていきました。

  • 香港特別行政区基本法
  • 返還前に民主的に選ばれた議員の身分の剥奪
  • 親中派に有利な選挙制度
  • 香港特別行政区行政長官を親中派が選出

それでもどうにか「一国二制度」の元で香港は「高度な自治」を維持していました。

国家安全条例

2003年に香港の言論の自由を制限し、反体制活動の取り締まりをねらった「国家安全条例」が香港市民の反発により撤回されました。

このころの中国は軍事的にも経済的にも力が弱く、また外国からの圧力に対しても対抗する力がなかったために、香港市民を抑えることができませんでした。

さいごに

合意文章では、「返還後も50年間は政治・経済・社会生活の現状を維持する」とされている。

1997年から見て50年後なので、2047年には中国は合意文章の内容を遵守する必要性はなくなる。

記事を書いている2019年から考えると、28年後には香港の「高度な自治権」が失われる可能性がある。

香港市民はこれから先も難題を突き付けられることになる。